無申告だと申請できない?見落としがちな特例

コロナの影響で、2019年度の確定申告については実質無期限となりました。

そこで、まだ2019年度の申告をしていないという方もいるのではないでしょうか。

申告をしていなかったら持続化給付金はもらえないのか?

今回は、前期または令和元年分の確定申告をしていない法人・個人事業主の方に使える特例についてご紹介します。

確定申告をしていない場合の特例(法人)

まず、前期の確定申告をしていない法人について見ていきましょう。

持続化給付金公式サイトの『資料ダウンロード』の申請要領に記載があります。

『A-1直前の事業年度の確定申告が完了していない場合』には、

直前の事業年度の確定申告の申告期限前である場合や申告期限が延長されている場合など、相当の 事由により対象月の直前の事業年度の確定申告書類の控えが提出できない場合又は直前の事業年度 の確定申告書別表一の控えに収受日付印が押印されていない場合、下記の書類を代替の証拠書類等 として提出することができます。

とあります。

つまり、前期の確定申告をしていない場合でも、要件を満たせば申請ができる、ということです。

二つの方法があります。

詳しく見ていきましょう。

前々期の確定申告書類の控えを提出する

まず一つ目は、「前期の申告書はないが、前々期の申告書ならある」という場合です。

前期の申告がまだ終わっていない場合などに使える方法です。

この場合には、前期の売上は使いません。

判定も対象月も前々期のものを使います。

提出する書類は、前々期の確定申告書です。

ただし、前期の申告書を税務署へ提出してしまっている場合には使えません。

前期の売上(収入)に税理士の署名をもらう

二つ目の方法は、前々期だと要件を満たさない場合に使える方法です。

前々期では申請要件を満たさず、前期であれば申請要件を満たす場合で、

この場合も一つ目と同様に、前期の申告がまだ終わっていない場合の方法です。

例えば、2年前はまだそれほど売上はなかったが、昨年からは売上が伸びつつあり、そんなさなかコロナが始まってしまったために売上が激減した場合などには、この特例を使える可能性があります。

ただしこの場合にも一つ目と同様に、前期の申告書をまだ税務署へ提出していない場合に限ります。

なお、前期の売上(収入)については、まだ誰の“お墨付き”もついていないので、税理士の署名が必要になります。

確定申告をしていない場合の特例(個人事業主)

ここまでは、直前の申告書を提出していない場合の法人の特例について見てきました。

個人の場合には、少々複雑になりますが、順を追って見ていきましょう。

①2019年分の確定申告義務がない場合

2019年(令和元年)の確定申告書を提出する必要がなかったため、提出していない場合の特例になります。

確定申告書を提出する必要がない場合というのは、つまり、『確定申告が必要な方』にあてはまらない人のことをいいます。

国税庁HP 確定申告が必要な方

かんたんに言うと、給与所得者や年金所得者の場合で、その他の所得が20万円以下の場合には確定申告をしなくてもよい、というものです。

サラリーマンや年金をもらっている方で、副業や開業したばかりで所得(収入-経費)が20万円もなかった場合が該当します。

この場合には、2019年分の住民税の申告書を提出する必要があります。

②コロナにより2019年分の確定申告書を提出していない場合

多くの補助金、助成金は、前年の確定申告書を税務署へ提出していることが必須となりますが、

今回の持続化給付金については、かなり緩和されています。

上記①と異なるところは、

本当は確定申告をしないといけないが、コロナにより2019年分の確定申告書を提出していない

という場合に使える特例、というところです。

つまり、①は所得税の確定申告義務はないから所得税の申告はしていない、というのに対し、②は申告義務はあるけれどコロナの影響でまだ何も申告していない、というところが異なります。

②に該当する場合には、2018年分の所得税確定申告書、もしくは住民税の申告書を提出します。

給付額の算定についても、2019年ではなく2018年分を用います。

また、2019年分の申告はしたけれども確定申告書を紛失してしまった場合にも、この特例を使える可能性があります。

まとめ

今回は、2020年9月29日に更新された持続化給付金公式サイトの申請要領をもとに、2019年度の確定申告書がない場合の特例について見てきました。

法人と個人事業主で扱いは異なりますが、2020年開業特例に比べ、今回ご紹介した特例については少々複雑になっています。

また、持続化給付金公式サイトや申請要領に明記されていないケースでも、相当の理由があり、税理士の署名付きの書類があることで給付金がもらえたケースもあります。

申告していないから無理とあきらめる前に、申請要件にあてはまるかを確認し、もしわからなければ専門家に問い合わせてみるのもよいかもしれません。

申請したけど不備やエラーで給付金がもらえないという方は、要件を満たしているかどうか、書類に不備がないかどうか、期限が迫る前に一度相談してみてはいかがでしょうか。

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